ぽぽろんの保険薬局薬剤師の勉強ブログ

ヒラのサラリーマン薬剤師のぽぽろんの個人的な勉強ブログです。

先発医薬品と後発医薬品について

こんいちは。ぽぽろんです。

今回は、ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いについて詳しくお話ししますね。

 

 

ジェネリックとは?

ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許が切れた後に登場する医薬品のことです。つまり、有効成分は同じなのです。

 

先発医薬品は、新しい有効成分を発見され開発されるため、多くの時間と費用がかかりますが、ジェネリック医薬品は先発医薬品の情報を利用して開発されるため、その費用は抑えられます。

そのため、ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも安く販売されるのです。

 

ジェネリック医薬品は、国の承認を受けるためには、先発医薬品と同じ効果や安全性を持つ必要があります。

そのため、ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ効能・効果や用法・用量を持っています。

ただし、製造会社や添加物などが異なる場合もありますので、微妙な違いが生じる可能性もあるのです。

 

同一成分同一規格の先発医薬品でも製造された日が違えばそれも微妙な差はあるわけですので先発品でも人によっては日によっては問題が起きる可能性はあるのかもしれません。ジェネリックでもその微妙な差が人にどのような影響を与えるのかは、人それぞれです。

 

ただ、そもそも先発医薬品が開発される過程でも、成分にもよりますが、5mg、10mg、50mg、100mg、500mgなど、数十mg単位で治験はされていることはあっても数μg単位で効き目や副作用に差があるか治験はされていないはずですのであまり気にし過ぎないことはある意味重要だと解釈しております。

 

ジェネリック医薬品の使用は、患者さんの経済的な負担を減らすだけでなく、国の医療財政の改善にも貢献しています。そのため、国や厚生労働省ジェネリック医薬品の使用促進を目標に掲げているのです。

 

先発医薬品はなぜ高いのか?

前述した通り、先発品の開発には膨大な金額がかかる場合があります。


一般的には数百億円から数千億円とされていて、具体的な例としては、アストラゼネカ社は1つの医薬品につき平均110億ドル(約1兆2000億円)以上を費やしたと報告しています。


また、タフツ医薬品開発研究センターの推定では、新薬の開発費用は26億ドル(約2800億円)近くになるとされています。

 

ただし、2020年の新しい調査では、新薬を市場に投入するまでの費用の中央値が9億8500万ドル(約1000億円)であり、平均値が13億ドル(約1400億円)と推定されています。

これは以前の調査結果よりも低くなっています。

 

ただし、最終的に市場に出すまでに理論上は効果がかあったり、動物には効果があっても、人間には効果が出なかったり、副作用が許容され難いものだったりと問題が発生し数千億円が無駄になることもあります。

 

医薬品の開発には多くの要素が関与し、複雑なプロセスが必要となるため、研究・開発費用は大きな負担となる場合があります。

 

製薬企業などにはそういったリスクを背負って開発しているのです。

【引用元】過渡期を迎えた製薬企業(前編)〜ふくらむ研究開発費 .... 参照URL: https://www.scienceshift.jp/blog/think-about-ploblem-of-2025-3-first

 

ちなみに、新薬開発費用が低くなった理由には、以下のような要因が挙げられます。

 

研究開発の効率化: 新しい技術や手法の導入により、基礎研究や非臨床試験の期間やコストを削減できるようになりました。

 

例えば、高速遺伝子シーケンシングやバーチャルスクリーニングなどの革新的な技術は、候補化合物の選別や薬剤開発プロセスの効率化に貢献しています。

 

臨床試験の最適化: 患者の特性や反応に応じて、試験デザインや投与量を調整することで、試験の精度や信頼性を高めるとともに、試験期間や規模を縮小できるようになりました。

 

適切なターゲット集団の選択や有効性評価の最適化により、効果的な臨床試験が可能となりました。

 

優先審査制度の活用: 重篤な疾患や未治療の疾患に対する新薬については、承認申請から審査までの期間を短縮する制度が各国で導入されています。

 

これにより、市場投入までの時間を短縮できるため、開発費用を削減することができます。

 

これらの要因により、新薬開発費用が低くなったとされています。研究開発の効率化や臨床試験の最適化により、費用対効果の高い医薬品の開発が可能となりました。

 

低いと言っても数千億円はかかることもあるので決して安いものではないですね。そのため先発医薬品は高いことが多いのです。

 

優先審査制度とは?

優先審査制度は、一定の基準を満たす医薬品や医療機器に対して承認申請から審査までの期間を短縮する制度です。

 

対象となる医薬品等には、希少疾病用医薬品、先駆け審査指定医薬品、先駆的医薬品、特定用途医薬品、重篤な疾患に対する新医薬品などがあります。

 

この制度を利用するためには、「早期審査に関する事情説明書」の提出と国や総合機構による可否の判断が必要です。

 

優先審査制度は日本だけでなく、アメリカや欧州などでも導入されています。

この制度は重篤な疾患に苦しむ患者にとって有益なものであり、治療の早期導入や医療の進歩に貢献しています。

 

【引用元】
優先審査等の取扱いについて( 令和02年08月31日薬生機審発第 .... 参照URL: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5289&dataType=1&pageNo=1
特許出願の早期審査・早期審理について | 経済産業省 特許庁. 参照URL: https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/v3souki.html
優先審査制度とは | 製薬業界 用語辞典 | Answers(アンサーズ). 参照URL: https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat02/3264/
FDA(アメリカ食品医薬品局)の日本語訳&解説. 参照URL: http://fda.importjapan.info/cder001.html

 

オーソライズド・ジェネリック

 

ジェネリック医薬品の中でも「オーソライズド・ジェネリック」というものも存在します。

 

オーソライズド・ジェネリックは、新薬メーカーから許諾を受けたジェネリックのことで、略してAGと呼ばれています。

 

AGには、AG1、AG2、AG3の3つのクラスがあります。

それぞれの違いと見分け方を見ていきましょう。

 

AG1
AG1は、新薬と同じ原薬、添加物、製法、工場、技術を用いて製造されます。

中身は新薬とまったく同じで、違うのは名前や薬価、包装などの外部要素です。

AG1を見分けるポイントは、添付文書やインタビューフォームの薬物動態の項目に標準製剤の記載がないことです。

 

AG2
AG2は、新薬と同じ原薬、添加物、製法を使用して製造されますが、工場や技術は異なります。

AG2を見分ける方法は、インタビューフォームの製品の開発経緯や治療学的・製剤学的特性において、原薬が新薬と同じであることが記載されていることです。

 

AG3
AG3は、新薬と同じ添加物、製法を使用して製造されますが、原薬や工場、技術は異なります。

AG3を見分けるポイントは、インタビューフォームの製品の開発経緯や治療学的・製剤学的特性において、原薬が新薬と異なることが記載されていることです。

 

AGのクラスごとに異なる特徴がありますが、それぞれ新薬と同等の効果を持ちます。

 

ただし、外部要素や製造プロセスに若干の違いがあるため、医療従事者や患者さんは添付文書やインタビューフォームをよく確認して、適切な医薬品を選択する必要があります。

 

AG1~3の見分け方以下のようになっています。

  1. 標準治療薬記載がないこと
  2. 原薬新薬同じであることが記載されていること
  3. 原薬新薬異なることが記載されていること。

 

以下の表にまとめました。

項目 AG1 AG2 AG3
原薬 新薬と同じ 新薬と同じ 新薬と異なる
添加物 新薬と同じ 新薬と同じ 新薬と同じ
製法 新薬と同じ 新薬と同じ 新薬と同じ
工場 新薬と同じ 新薬と異なる 新薬と異なる
技術 新薬と同じ 新薬と異なる 新薬と異なる
見分け方 標準製剤の記載がないこと 原薬新薬同じであることが記載されていること 原薬新薬異なることが記載されていること


この表は、AGのクラスを簡単に理解するためのものであり、実際の医薬品は個々に特徴や効果が異なる場合があります。

添付文書やインタビューフォームなどをよく読み、適切な医薬品を選択するようにしてください。

【引用元】
オーソライズド・ジェネリック総論【AG1〜3と簡単な見分け方 .... 参照URL: https://www.mr-net.info/entry/ag
2022年 AG(オーソライズド・ジェネリック)一覧表。AG1,2,3とは .... 参照URL: https://kusuri-company.com/2018/08/21/ag/

 

一筋縄ではいかない?

 

薬物動態に標準製剤の記載がないことや標準製剤とと原薬が同じという時点でAG1かと思っていたのですが、以下のような薬もありますね。

 

例に挙げるのは、フェキソフェナジン塩酸塩30/60mg「SANIK」です。

 

I. 概要に関する項目

 

1. 開発の経緯

本剤は,フェキンフェナジン塩酸塩を有効成分とするアレルギー性疾患治療剤である。

「フェキソフェナジン塩酸塩錠 30mg/60mg「SANIK」」は,日本においてサノフィグループから特許権等の許諾を受けた唯一の製剤であり、日本初のオーソライズジェネリックとして,日医工サノフィ株式会社が 2012年2月15日に承認を取得し、2013年6月21日に日医工株式会社が販売を開始した。

2021年12月1日,日医工サノフィ株式会社から日医工株式会社へ製造販売承認が承継された。

 

2.製品の治療学的・製剤学的特性

(1) 本剤は,標準製剤と原薬,添加物,製造方法が同一の,日本初のオーソライズドジェネリックである。

 

引用: フェキソフェナジン塩酸塩錠30/ 60mg「SANIK」インタビューフォーム: https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/55670/interview/55670_interview.pdf

 

これに関しては、2.製品の治療学的・製剤学的特性だけで自動的にAG1だと思われましたが、どうも工場が同じという記載がありません。

 

ということはAG2かAG3ということになるのかと思いますが、標準製剤と同じということは新薬と同じであるため、AG2なのかなと思われます。

必ずしも文言が同じということもないようですね。

もしくは私が見る場所間違えてるのかもしれませんけどね。

 

ここまでAGの話をしていましたが、AGを勧めるわけではありません、わ

 

AGが必ず良いというものではないと思われますので、その辺りも考慮していけると良いかと思います。

ジェネリックによっては、AGではなくても、効果は同じで先発医薬品にはなかった飲みやすさを追求したものもあります。

 

個人的な考え方ですが、AGは他のGEより少し高い印象ですので、効果が変わらないのであればさらに安いGEの方が良いという考え方もあるかと思います。